代表メッセージ
皆様には、平素より「たちばな信用金庫」に対しまして格別のご愛顧とお引き立てを賜りまして、誠にありがとうございます。 さて、当期の経済環境を展望しますと、第2次安倍政権発足以後、大胆な金融政策、財政政策、成長戦略の3本の矢を柱とするアベノミクスの推進により、大手企業を中心に業況の改善が強まり長引くデフレからの脱却と経済再生の歩みが現実となりつつあります。 しかしながら、アメリカの金融緩和の縮小等により新興国経済の減速等や、世界各国で起こる地域紛争等のリスク要因も顕在化しており、今後わが国に与える影響が懸念されています。 本県におきましては、九州新幹線西九州ルートの延伸工事や長崎がんばらんば国体への対応等による公共投資の大幅な増加から関連業種を中心に回復傾向にあり、設備投資にも持ち直しの動きが見られます。しかしながら、従来から少子高齢化、中小企業数の減少等構造的な問題を抱えており、これに円安に伴う原材料高の影響も加わり、景気回復の実感を得るに至っておらず、消費税率引上げに伴う消費の落ち込み等も懸念され、先行きの不透明感は根強いものとなっております。 このような中、当金庫は事業再生・中小企業の経営力強化等の取組みによる、コンサルティング機能の発揮により取引先企業への経営改善支援や地域活性化に向けた取組等を積極的に行いました。また、お客様・地域のニーズに的確に対応できる体制を整備するとともに、地域密着型金融の深化に取り組んでまいりました。 具体的には、取引先事業者の販路拡大を目的として、平成19年度より継続して出展している「東京ビジネスサミット」や「ひびしんビジネスフェア」への出展斡旋を実施しました。更に日本政策金融公庫と提携し、地域起業家を支援する「創業サポートプラン」を創設しました。また、地域で活躍する若手経営者を対象とした「第3期たちばな未来塾」を開講しました。その他、少子高齢化による年金制度の見直しへの備えとして「個人年金」や確定拠出年金「個人型401K」の取扱いを開始した他、医療にかかる幅広いニーズに対応するため、終身保険、医療・がん保険の推進を図りました。 預金面につきましては、個人預金が対前期比5億円減少しましたが、法人預金が流動性預金の増加により対前期比9億円増加したことにより、預金合計では対前期比4億円増加の1,075億円となりました。 一方貸出金は、住宅ローンを中心とする個人向け貸出が対前期比9億円の減少となり、事業者向け貸出が再生可能エネルギーの分野および医療・介護事業への融資が好調であったことや金融機関貸出により3億円増加したものの、貸出金合計では対前期比5億円減少し、701億円となりました。 損益面においては、有価証券の売却償還益が増加したものの、貸出金利回りの低下等により資金運用収益が減少した結果、経常収益は対前期比40百万円減少の2,455百万円となりましたが、資金調達費用や経費が減少したこと等により経常費用は対前期比77百万円減少の2,135百万円となったことから、経常利益は同36百万円増加の320百万円となり、減損損失を70百万円計上した結果、当期純利益は対前期比32百万円減少の203百万円となりました。 この結果、自己資本比率は前期比0.41ポイント増の8.53%(国内基準4%)となっております。また、平成25年度を最終年度とした長期経営計画(8・8プラン)の目標であった、自己資本比率8%以上、不良債権比率8%以下を達成しております。 平成26年度においては、新興国の経済減速、消費税引き上げ等のマイナス効果を克服し、今後の日本経済が成長していくことができるかを見極める重要な年度となります。本県におきましては、国体の開催、新幹線の延伸に加え、観光産業におけるハウステンボスの集客力の高まりや長崎市の世界新三大夜景の認定等景気回復へのプラス材料はあるものの、人口減少や高齢化の進行により、取引先としている中小零細企業の後継者不足等による廃業問題やアベノミクスによる経済効果波及のタイムラグ等があり、業況回復には時間を要すると思われます。こうした状況の中、当金庫は平成26年度を初年度とした中期(3ヵ年)経営計画「チャレンジ1・2・3」の計画理念「持続的発展を目指すため、お客様との信頼関係を強固にするとともに、志の高い信用金庫人を育成することにより、地域からの評価・信頼度の向上に努める」を基に、引き続き協同組織金融機関としてのきめ細かい課題解決型金融の推進、経営改善や事業再生に向けたコンサルティング機能の発揮、創業支援、販路拡大への支援を行ってまいります。